デコパージュで旅するアンティークの世界


「アンティーク」と聞くと、どのようなイメージがあるでしょうか?
くすみがかった花柄やレース、デコラティブな装飾の施されたインテリアもあれば、ぬくもりある木製家具を想像されるかもしれません。

身近に取り入れてみたいけれど、本格的なアンティーク家具は手が届きにくそう…と思われる方も、デコパージュで身近な雑貨をアレンジして、アンティーク感を表現してみてはいかがでしょうか?
今回は、デコパージュで作るノスタルジックで魅力ある世界を、作品と共にご紹介していきます。

そもそもアンティークとは?

国によって認識が異なる

アンティーク(antique)は、 フランス語で「古代美術品」「骨董品」を指します。アメリカの税関法で、「製造から100年以上経過したもの」と定義されていますが、ヨーロッパでは明確な定義はありません。家具の場合、100年以上経過していると、かえって状態が良くないことも少なくないようです。

アンティークが最も身近なイギリスでは、100年という年数よりも、大量生産されていないことや、良いデザインを継承している点が重視されています。

どんな種類があるの?

ひと口にアンティークと言っても、人によってイメージは様々。

例えば、18世紀のフランスにおいて、ロココ調という、宮殿内でのサロン文化を担った様式があります。華やかな花柄の布地や、贅沢な装飾が施されている調度品が特徴的。マリーアントワネットに象徴されます。
一方、産業革命後のイギリスで生まれたのが、ヴィクトリアン調と呼ばれる様式。ブルジョワ階級が好んだスタイルで、華やかでありながら、実用性を重視します。
時代が進むと、広く暮らしに馴染むカフェテリアアンティークというジャンルが生まれました。白木や木目など、オーク素材を中心としていて、ナチュラルさを活かします。

デコパージュでアンティーク感を出すために

人々の暮らしと共に様々なジャンルが生まれたアンティークですが、デコパージュでは、紙を使うからこそ出せる風合いがあります。今回は、その中でも代表的な技法を中心にお伝えします。

クラックル技法


moma decoupage by Yumi

クラックル技法は、専用の塗料を表面に塗り、ひび割れた状態に仕上げる技法です。新品の物でも、塗装して乾燥させると、割れ目の入った加工を施すことが可能です。

こちらのボックスは、カトラリー模様のペーパーを使用していて、モノクロームでシックなムードがあります。さらに表面には汚し加工を加えているので、よりヴィンテージ感が増しますね。

アルミホイル技法


Atelier Maison de la Mer

アルミホイル技法は、アルミホイルを使ってベースにシワが入るように加工します。独特の風合いと経年変化したようなアンティーク感が出せます。

柄と色使いがノーブルなティッシュボックス。くすみブルーの花柄とシワ加工で、一層クラシカルになりますね。

キャンドルカット技法


Atelier Maison de la Mer

キャンドルカット技法は、ペーパーの一部を燃やして用いる手法です。火の取り扱いには注意が必要ですが、紙の特性を生かして、まるで何十年もの歳月を重ねたような風合いを表現できます。紙を使うデコパージュならではのアイデアですね。

こちらの作品はガラスの豆皿に、裏側からブルーコーラルのペーパーを貼り、上から銀箔を貼っています。


Atelier Maison de la Mer

イニシャルだと可愛らしく、ワインオープナーで渋めに。東洋風のオリエンタルな柄もよく合いますね。柄と箔の組み合わせで、様々なニュアンスを楽しめます。
全て裏側から貼り付けているため、しっかりと加工すれば食器として使用することもできますよ。

身の回りの品をアンティークに

これまでご紹介したように、デコパージュでは、様々な技法を駆使することによって、あなたが表現したいアンティーク感を演出することができます。
ここからは、小物や食器、家具に至るまで、お家でも取り入れたいアイテムを見ていきましょう!

持ち歩きたいコンパクトミラー


デコパージュサロンandN

レモン柄と、アンティーク感あるゴールドの枠が、爽やかでエレガントな印象のコンパクトミラー。小さめなので、お気に入りの柄をいつでもバッグに忍ばせて。ピルケース等にも応用できそうですね。

テーブルミラーの鏡面に


moma decoupage by Yumi

バラとヴィンテージ調のフレームがマッチした重厚感あるミラー。年代物のように見えますが、こちらも鏡面をデコパージュで加工しています。
クラシックカラーに染まったローズと落ち着いた輝きのゴールドカラーが豪華で、お部屋に置けば存在感抜群!

繊細なあじさいのガラスプレート


meli-melo鎌倉

紫陽花のかすれたペイントが、シックで上品なスクエアプレート。セピア色のインテリアと合わせると、空間がぐっとノスタルジックになります。使用するモチーフを、四季折々の花に変えて、季節感を演出しても良いですね。

リモコンボックスをイメージチェンジ


デコパージュ教室BELINDA

元々はシンプルな木製のリモコンボックス。新品だった箱に、モノクロのバラを貼り付けて、ゴシック調に印象チェンジ。角と表面にはエイジング加工が見られます。長年愛用しているような、深みあるインテリアに生まれ変わりました。

イングリッシュガーデン風の鉢カバー


デコパージュ教室BELINDA

優しい表情の天使アムールとプシュケーが、見る人を穏やかな気持ちにさせてくれる鉢カバー。アンティーク加工と、セピアカラーの天使柄は相性が良いですね。お庭のガーデニング用品に、手作り雑貨を取り入れると、愛着もひとしおです。

空間のアクセントにインテリアボード


Blumiere

こちらは、イタリアンペーパーの切れ端を活用して作られたインテリアボード。土台には布地のキャンバスを使用しています。花柄と、黒目がちでアンニュイな表情の女の子が可愛らしいですね。
手でちぎられたペーパーが、温かみを感じる表現に一役買っています。

ファブリックのようなランプシェード


Atelier Maison de la Mer

もはや紙とは思えないほど、しっかりとした造りのテーブルランプ。
人気のトワルドジュイ柄をデコパージュして、全体をシャビー感あるグレーのカラーリングでまとめています。

布ではお高くなってしまうところですが、ペーパーを活用することで手軽に取り入れられるのも嬉しいですね。その他のアイテムと柄を揃えて、ちょっとしたお部屋の模様替えにも。

おうちで異国情緒を感じてみませんか

お手持ちの家具や、小物をリメイクできるのもデコパージュの魅力。デコパージュなら、余ったペーパーも余すところなく使えるのが良いですね。ご紹介してきたように、工夫次第で身の回りのアイテムが様変わりします。

暮らしにアンティーク雑貨を取り入れると、まるで海外旅行に行ったように、ノスタルジックな気分に浸ることができますよ。
アンティークのある空間で、ゆったりとした時の流れを感じながらタイムトリップしてみてはいかがでしょうか?